短歌・俳句の始め方:言葉遊びから続ける初心者入門
短歌・俳句は、紙とペンだけで始められる趣味です。高い道具も、特別な資格もいりません。まずは日記の一文を「五・七・五・七・七」または「五・七・五」に置き換えるところからで十分です。
向いているのは、日常の小さな違和感、季節の変化、言い間違いの面白さ、人に言い切れない感情を残しておきたい人。反対に、最初から名作を作ろうとすると苦しくなります。短歌・俳句は、うまく書く前に、短く言い換えて遊ぶ趣味だと考えると続けやすくなります。
- 短歌は五・七・五・七・七の31音が基本
- 俳句は五・七・五の17音が基本で、季語や歳時記に触れると深くなる
- 初期費用は0円から始められる
- 添削や講座を使う場合は数千円から数万円まで幅がある
- 最初の一歩は「今日見たものを1つ選び、短くする」こと
結論:まずは短歌から1首、俳句から1句を作ってみる
短歌と俳句のどちらから始めても構いません。ただ、初心者が迷うなら、最初の1週間は両方を1つずつ作ってみるのがおすすめです。
短歌は31音あるので、気持ちや状況を少し説明できます。俳句は17音なので、見たものを絞る練習になります。
向いている人
短歌・俳句は、次のような人に向いています。
- 長い文章を書く時間はないが、言葉で何かを残したい
- 散歩、通勤、家事、待ち時間の中で考えるのが好き
- 季節の言葉、古い言葉、響きのよい言葉に興味がある
- SNSやノートに短い作品を残したい
- 人前で発表するより、まず一人で静かに始めたい
始める前に知っておきたいこと
短歌・俳句は「正解を当てる遊び」ではありません。音数、季語、切れ字、表記などのルールはありますが、最初から全部を覚える必要はありません。
まずは、次の3つだけで始められます。
- 目の前のものを1つ選ぶ
- その時の気持ちを短く言う
- 音の数をざっくり整える
ここがポイント: 最初の目標は入選や投稿ではなく、「1日1つ、言葉を短く置き換える習慣」を作ることです。
短歌・俳句はどんな趣味か
短歌・俳句は、短い定型詩を作り、読み、直し、ときには人に見せる趣味です。
短歌は、五・七・五・七・七の形を基本にした31音の詩です。NHK学園の短歌講座でも、短歌のかたちとして「五・七・五・七・七」や音数の数え方から学ぶ流れが示されています。
俳句は、五・七・五の短い形で、季語や歳時記に触れながら作ることが多い文芸です。NHK学園の俳句教室では、句会形式で基本知識を学び、歳時記を持参する案内が出されています。
一人でも、仲間とでも続けられる
短歌・俳句は、一人でノートに書くだけでも成立します。慣れてきたら、投稿、句会、歌会、通信講座、オンライン講座に進むこともできます。
- 一人向き: ノート、スマホメモ、読書、推敲
- 仲間向き: 句会、歌会、講座、投稿企画
- 屋内向き: 読書、添削、推敲
- 屋外向き: 散歩、吟行、季節の観察
初期費用の目安
2026年5月22日時点で確認できる公式情報をもとにすると、短歌・俳句は無料でも始められます。ただし、学び方を広げると費用は変わります。
| 始め方 | 費用の目安 | 内容 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 最低限 | 0円〜1,000円前後 | 手持ちのノート、スマホメモ、図書館の本を使う | まず試したい人 |
| 標準 | 月800円〜1,000円前後 | 入門書、歳時記、月刊テキストを買う | 作り方を少し学びたい人 |
| 添削・講座あり | 数千円〜3万円前後 | 通信講座、教室、句会形式の講座を利用する | 作品を見てもらいたい人 |
NHK出版の定期購読ページでは、「NHK短歌」は月刊20日発売、2025年度の定期購読価格として4か月3,360円、6か月5,040円などが掲載されています。「NHK俳句」は2025年度の定期購読価格として4か月3,200円、6か月4,800円などが掲載されています。
講座を使う場合はさらに幅があります。たとえばNHK学園の「永田和宏のはじめての短歌」は、学習期間6か月、提出5回、受講料28,600円税込と案内されています。NHK学園オープンスクールの俳句教室では、6回21,600円税込の例があります。
必要なもの
最初からそろえる道具は多くありません。むしろ、道具を増やすより「書く場所」を決める方が大切です。
最低限必要なもの
- ノート、またはスマホのメモアプリ
- ペン
- 気になった言葉を残す場所
- 短歌・俳句の入門書を1冊、または図書館で借りる本
あると便利なもの
- 歳時記: 俳句で季語を調べるときに便利
- 国語辞典、類語辞典: 言い換えを探すときに使える
- 月刊テキスト: 作例、添削、投稿先を知りたいときに役立つ
- 作品用ノート: 作ったものと直したものを並べて見返せる
後からでよいもの
- 本格的な歳時記セット
- 有料講座
- 句会・歌会への継続参加
- 投稿用の専用はがきや応募用紙
俳句を選ぶなら、歳時記は早めにあると便利です。ただし最初は図書館の歳時記や電子版でも足ります。短歌を選ぶなら、まずは好きな歌集や入門書を1冊読む方が実作に入りやすくなります。
始め方:最初の7日間でやること
短歌・俳句は、勉強してから書くより、書きながら少しずつ覚える方が続きます。最初の1週間は、作品の完成度より「毎日1つ作る」ことを優先しましょう。
1日目:題材を1つ選ぶ
題材は大きくなくて構いません。
- 朝のコーヒー
- 洗濯物
- 駅のホーム
- 雨の匂い
- スマホの通知
- 冷蔵庫の残り物
「人生」「孤独」「希望」のような大きな言葉から入ると、かえって書きにくくなります。最初は、目で見たもの、手で触ったもの、耳に残った音を選びます。
2〜3日目:短歌にしてみる
短歌は31音あるため、見たものと気持ちを両方入れやすい形式です。
まずは次の形で十分です。
- 上の句: 見たもの、起きたこと
- 下の句: そこから出てきた気持ち、考え
音数が少しずれても、最初は気にしすぎないでください。あとで直せばよいからです。
4〜5日目:俳句にしてみる
俳句は短いぶん、説明を削る練習になります。
最初は「季節のものを1つ入れる」と決めるだけで作りやすくなります。春なら桜、夏なら汗、秋なら虫の声、冬なら湯気のように、身近な言葉で構いません。
6日目:1つだけ直す
推敲では、全部を直そうとしないことが大切です。
- ありきたりな言葉を1つ変える
- 説明しすぎた部分を削る
- 最後の言葉を入れ替える
- 音の数を整える
1首・1句につき、直す場所は1か所で十分です。
7日目:残したい作品を選ぶ
7日分作ったら、よくできたものではなく「また読み返したいもの」を1つ選びます。短歌・俳句は、他人に評価される前に、自分の言葉の癖を知る趣味でもあります。
挫折しやすい点と避け方
短歌・俳句でつまずく人は、才能がないからではなく、最初のハードルを高く置きすぎていることが多いです。
音数を完璧に合わせようとして止まる
五・七・五・七・七、五・七・五は大事な手がかりです。ただし、最初から完璧に数えると、書く前に疲れます。
まずは口に出して読んで、リズムが大きく崩れていないかを確認します。細かい音数は、慣れてから直していけば十分です。
季語が分からず俳句が作れない
俳句では季語がよく使われますが、季語を知らないままでも、季節を感じた言葉をメモすることはできます。
「暑い」だけで終わらせず、「汗」「麦茶」「夕立」「扇風機」のように、具体的なものへ置き換えると俳句に近づきます。
作品を人に見せるのが怖い
最初から投稿や句会に出す必要はありません。まずは自分用のノートで構いません。
人に見せるなら、いきなり不特定多数へ出すより、講座、句会、歌会、投稿欄など、作品を読む前提がある場所を選ぶと負担が軽くなります。
短歌と俳句の比較
どちらを主にするか迷う場合は、次の違いで選ぶと分かりやすくなります。
| 項目 | 短歌 | 俳句 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 0円から可能。入門書やテキストを買うと月数百円〜 | 0円から可能。歳時記を使うと学びやすい |
| 難易度 | 気持ちを入れやすいが、説明が長くなりやすい | 短く作れるが、削る力が必要 |
| 続けやすさ | 日記感覚で続けやすい | 散歩や季節観察と相性がよい |
| 必要な場所 | 自宅、通勤中、カフェなど | 自宅、散歩道、公園、旅先など |
| 向いている人 | 気持ちや出来事を少し残したい人 | 一瞬の景色や季節感を切り取りたい人 |
| 挫折しやすい点 | 説明しすぎて散文のようになる | 季語や省略に迷う |
迷ったら、気持ちを書きたい日は短歌、景色を切り取りたい日は俳句にする。最初はその使い分けで十分です。
続けるコツ
短歌・俳句を続けるコツは、作品数を増やすことより、言葉を拾う場面を生活の中に作ることです。
書く時間を短く固定する
1日5分で構いません。寝る前、通勤中、昼休みの終わりなど、毎日同じタイミングにすると続きやすくなります。
「今日は作れなかった」と感じる日は、題材だけメモします。作品にしなくても、言葉の材料は残ります。
読む量を少し増やす
作るだけでは、言葉の引き出しが増えにくくなります。歌集、句集、新聞の歌壇・俳壇、NHK短歌・NHK俳句のテキストなどを少し読むと、自分では思いつかない言い方に出会えます。
添削は必要になってから使う
独学で物足りなくなったら、講座や句会を検討します。NHK学園の短歌講座のように提出と添削が組み込まれたもの、俳句教室のように句会形式で学ぶものがあります。
ただし、最初から有料講座に申し込まなくても大丈夫です。1か月ほど自分で作ってみて、「直し方を知りたい」と思ってからで遅くありません。
注意点:投稿・SNS・著作権で気をつけること
短歌・俳句は安全面のリスクが小さい趣味ですが、作品を公開する場合は注意が必要です。
- 他人の作品を少し変えただけで自作として出さない
- 本やウェブで見た作品を引用するときは、出典を確認する
- 投稿先の応募規定、未発表条件、二重投稿の扱いを読む
- SNSに出した作品が「発表済み」扱いになるか、応募先ごとに確認する
- 講座や句会では、事前投句の締切や提出数を守る
とくに投稿を考える場合は、応募先のルール確認が欠かせません。無料投稿でも、有料講座でも、提出方法や締切はそれぞれ違います。
まとめ:今日の一文を短くするところから始める
短歌・俳句は、道具をそろえてから始める趣味ではありません。まずは今日見たものを1つ選び、短歌なら31音、俳句なら17音を目安に短くしてみる。それが最初の一歩です。
始め方を迷うなら、次の順番で十分です。
- ノートかスマホメモを用意する
- 1日1つ、目に入ったものをメモする
- 短歌と俳句を1週間ずつ試す
- 気に入った作品を1つ選び、1か所だけ直す
- 続けたくなったら、入門書、歳時記、講座、投稿を検討する
最初に見るべきポイントは、才能の有無ではありません。短い言葉にすると、自分の日常が少し違って見えるか。その感覚があるなら、短歌・俳句は長く続けられる趣味になります。
